これまでの患者に対する研究で、尿中pHが低いことと2型糖尿病との間には密接な関係があることが明らかになっていましたが、尿中pHが低いことと、2型糖尿病の発症がどのように関連しているのかは不明なままでした。このほど、この関連性を検討した日本の男性を対象とする大規模コホート研究の結果が報告されています。
尿中pHの低値はインスリン抵抗性と関連
研究を行ったのはYoshitaka Hashimoto氏らのグループで、その成果をまとめた論文は「Diabetes Research and Clinical Practice」8月号に掲載されました。
研究グループは、3,119人の男性を対象に、5年間の追跡調査研究を実施、尿中のpHを測定して、その値により被験者を4つのグループに分類しました。そして、多変量ロジスティック回帰分析を行い、結果に影響を与えうる年齢やBMI値、喫煙の有無、運動習慣、飲酒習慣、高血圧症、高トリグリセライド血症(中性脂肪)、LDLコレステロール値、空腹時血糖値異常といった要素でのデータ調整を施した上で、2型糖尿病発症のオッズ比を算出しています。
容易に測定可能な尿中pHは有用なマーカーとなる可能性
分析の結果、5年間の追跡期間中で糖尿病を発症した人は113人でした。尿中pHが最も低い5.0の群は318人、尿中pH5.5の2番目に低い群は1,366人、尿中pH6.0の3番目に低い群は856人、尿中pHが最も高い6.5以上の群は579人が該当しています。
このグループごとで糖尿病の発症率をみると、最も低い群では22人発症で6.9%、2番目に低い群は46人で3.4%、3番目に低い群では30人の3.5%、最も高い群では15人発症の2.6%となっていました。
尿中pHが最も低い群では、その他の群に比べて有意に糖尿病となるリスクが高まっており、2番目に低い群に対するオッズ比は1.91、3番目に低い群に対するオッズ比は1.99、最も高い群と比較したオッズ比は2.69にもなっていたそうです。
研究グループではあわせて、低い尿中pHはインスリン抵抗性と関連していることを報告、尿中pHの低値は糖尿病の発症リスクと独立して有意に関連しており、マーカーとして有用な可能性があるとしました。
尿が酸性尿かアルカリ尿かをみる、尿中pHの測定検査は、一般に試験紙を用いて行われるもので、容易かつ安価、迅速に実施することができるタイプの検査です。この手軽な検査で、糖尿病リスクが判定できるならば、実用性も高いといえるでしょう。今回得られた知見が、今後の臨床に活かされていくことを期待したいですね。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Research and Clinical Practice : Urinary pH is a predictor of diabetes in men ; a population based large scale cohort study
http://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/