糖尿病患者の場合、心血管系疾患の発現リスクが有意に高まることが明らかとなっており、通常の人以上に心臓や血管に負担をかけない生活を送ることが大切と考えられています。こうしたリスクは、脂質異常症や肥満があるとさらに上昇してしまうため、食生活における意識づけはとくに重要となりますが、摂取する油のタイプに注意すると、大きな効果が期待できることを明らかにした研究成果がこのほど発表されました。
摂取するなら飽和脂肪酸から多価不飽和脂肪酸などへ
Frank M. Sacks氏らの研究グループは、米国心臓協会の推奨する、肉類やバターなどの飽和脂肪酸を減らし、オリーブオイルなどの多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸へ変えていくことが、心血管系疾患の予防にどの程度貢献するものであるか、最新のエビデンスをもって精査することを試みました。成果をまとめた論文は、「Circulation」に6月15日付で掲載されています。
油脂類は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別され、飽和脂肪酸は牛肉や豚肉の脂、バター、マーガリン、綿実油、ココナッツオイルなどに多く含まれており、不飽和脂肪酸は植物油や魚の油に多く、そのうちの多価不飽和脂肪酸はコーン油やピーナッツオイル、ごま油、アーモンドオイル、亜麻仁オイル、いわしやサンマなど魚の油などに、一価不飽和脂肪酸はオリーブオイルやキャノーラ油、ひまわり油やパーム油などに含まれています。
研究グループが検証したところによると、ランダム化比較実験を通じ、食事中の飽和脂肪酸摂取を減らして多価不飽和脂肪酸の植物油に置き換えると、心血管系疾患の発現リスクをおよそ30%抑制することができると判明したそうです。
この値は、血液中のコレステロール値を低下させる脂質異常症の治療薬であるスタチンを用いた介入を行ったのと同程度のリスク低減効果にあたるといい、かなりの効果が認められています。
死亡率も低下、地中海食などはやはり有効か
また大規模集団での将来に対する前向き観察研究でも、飽和脂肪酸の摂取量を減らし、多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸に変えることが、心血管系疾患やその他の主要死因による死亡、および全死因による死亡率の低下と有意に関連することが確認されました。
一方で、精製された炭水化物類や糖分によって飽和脂肪酸の摂取を代替し、油の摂取を減らしても、心血管系疾患の発現リスクを低下させるような効果はみられなかったそうです。
不飽和脂肪酸によって飽和脂肪酸を置換すると、アテローム性動脈硬化の原因である低密度リポタンパク質コレステロール(LDLコレステロール)が低下することも臨床試験などから判明しており、やはりこれらの結果から考えて、飽和脂肪酸の摂取量を減らし、不飽和脂肪酸、中でも多価不飽和脂肪酸でそれを置き換えると、心血管系疾患のリスクを低減させられ、死亡リスクも下げられることは間違いないとまとめられました。
もちろん食生活は全体のバランスで考えることが重要であり、飽和脂肪酸を避けさえすればよいというものではありません。研究グループでも、このほかナッツ類や果物、野菜、全粒粉類、魚などを積極的に摂取する地中海食など、これまでのガイドラインで推奨された健康的な食事スタイルが望ましいとしています。
糖尿病の観点からは、まず糖質に気をとられがちですが、摂取する油のタイプにも気を配るようにし、そこから食生活全体を見直していけるとよいですね。
(画像は写真素材 足成より)

Circulation : Dietary Fats and Cardiovascular Disease : A Presidential Advisory From the American Heart Association
http://circ.ahajournals.org/