世界中に多くの患者が存在する2型糖尿病は、偏った食生活や運動不足など、生活習慣の乱れが蓄積していく後天的な要因から進行していく疾患ですが、その発症には遺伝的要素が大いに関係していると考えられてきました。このほど、その遺伝的な部分に新たな知見をもたらす発見の研究報告がなされています。
ラテンアメリカ人対象の研究でSLC16Aの遺伝子に着目
研究を行ったのは、Victor Rusu氏、Eric S. Lander氏らのグループで、2型糖尿病を有するラテンアメリカ人を対象に遺伝子分析を行って、その発症メカニズムを探っています。成果をまとめた論文は「Cell」に6月29日付で掲載されました。
研究グループは、ヨーロッパ系の人々に比べ、ラテン系の人々で2型糖尿病の発症が2倍近くみられることに着目し、ラテンアメリカ人を対象として遺伝子解析を実施、どのような変異が糖尿病発症と関連しているのかを調べました。
その結果、SLC16A11という遺伝子の関連性が高いことが見出され、この遺伝子型の半数体(ハプロタイプ)は、メキシコにおける2型糖尿病有病率の約20%を説明できるものであることが同定されたそうです。
変異により肝臓細胞が機能を喪失、インスリン抵抗性が増大
研究グループは、さらにこのSLC16A11について研究を進めたところ、2型糖尿病の発現で、肝臓における同遺伝子の発現が低下していること、変異したSLC16A11が基底細胞と相互作用を起こし、細胞の表面を局在的に破壊、機能を喪失させていることを発見しました。
SLC16A11遺伝子は、細胞膜を通して分子輸送を行う仕組みに関係する遺伝子の一種で、それが生み出すたんぱく質は身体のさまざまな機能に関わるものとなっています。
SLC16A11の遺伝子変異が、2型糖尿病リスクとどのように関係しているか、さらに検証したところ、SLC16A11がプロトン結合モノカルボキシレートトランスポーターとして働き、その変異や減少は脂肪酸や脂質代謝に変化を及ぼしていることが判明しました。
この遺伝子変異が2型糖尿病の病因となる詳細なメカニズムを完全に明らかなものとするにはいたりませんでしたが、今回の結果から研究グループでは、SLC16A11の変異による機能喪失がインスリン抵抗性の増大を招き、2型糖尿病発症のリスクを著しく高めていると分かったとして、SLC16A11の活性を増強させる治療薬を生み出すなどすれば、2型糖尿病の遺伝子学的な新しい治療が可能となる可能性が高いとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Cell : Type 2 Diabetes Variants Disrupt Function of SLC16A11 through Two Distinct Mechanisms
http://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(17)30694-3