肥満は2型糖尿病を発現する大きなリスク因子であり、そうした場合には体重管理と血糖コントロール管理を、あわせて改善していくことが重要となります。しかし今日、比較的肥満患者の少ないアジア圏域、日本国内などにおいても、2型糖尿病患者の増加は著しく、対策が急務となっています。
日本人1,000人超を対象としてインスリン抵抗性に関する調査研究を実施
そこで、肥満度の評価を行う指標ともなるBMI値で示される体格と、全身性の慢性炎症レベルといったものが、インスリン抵抗性にどう影響するのか明らかにすることを目的とした、日本人を対象とする調査研究がこのほど行われました。
研究を実施したのは、Hirokazu Uemura氏らのグループで、その成果をまとめた論文が「PLOS ONE」オンライン版に6月2日付で掲載されています。
研究グループは、日本人の健康状態を長期にわたり追跡調査する多施設共同コホート研究「J-MICC Study」から、徳島の2009年~2013年における被験者、健康な成人男女1,074人のデータを用いて横断研究を実施しました。被験者の年齢は35~69歳で、男性が536人、女性は538人となっています。
全身性の炎症レベルとBMI値の大きさがインスリン抵抗性に関連
全身性の慢性炎症レベルは、血清高感度C反応性タンパク(hs-CRP)を用いて評価し、BMI値で23.0未満を適正体重、23.0~24.9を過体重、25.0以上を肥満として、被験者のベースラインデータをもととした分類を行いました。そして、これらと恒常的なインスリン抵抗性や膵β細胞の機能がどのように関連するか、それぞれHOMA-IR、HOMA-βをみて検討しています。
被験者を血清hs-CRPの炎症レベルで4群に分け、BMI値を含めた複数の推定共変量を調整した上で分析したところ、血清hs-CRP値とHOMA-IRとの間には、用量依存的な関連性があることが認められました。一方でHOMA-βとの関連性はみられていません。
次に慢性炎症レベルとBMI値をかけ合わせた解析を行うと、血清hs-CRP値が中央値よりも低い群の、BMI値が肥満にあたる群では、正常なBMI値適正体重群に比べ、HOMA-IRの平均値が1.5倍高く、BMI値で過体重の群でも1.2倍高くなっていました。
また血清hs-CRP値が中央値よりも高く、慢性炎症レベルが高めでかつ肥満である群の場合、適正体重かつ炎症レベルの低い群より、HOMA-IRが2.3倍高い結果となりました。
BMI値が適正体重であった群では、血清hs-CRP値の高さによるHOMA-IRの差はみられませんでしたが、肥満の群では血清hs-CRP値の高低でHOMA-IR値に有意な差が認められ、HOMA-IRにおいては、BMI値で評価した体格と血清hs-CRP値との相互作用効果が存在することが明らかとなっています。
これらの結果から研究グループでは、全身の慢性的な炎症レベルの上昇は、その他のリスク因子から独立して用量依存的にインスリン抵抗性と関連していることが判明したほか、BMI値で示される肥満度と慢性炎症レベルの上昇は、相乗的にインスリン抵抗性を強めるものとなることが分かったとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

PLOS ONE : Relationships of serum high-sensitivity C-reactive protein and body size with insulin resistance in a Japanese cohort
http://journals.plos.org/