糖尿病患者では、とくに血糖コントロール不良の状態が長く続くと、全身の骨がもろくなりやすく、中高年齢層の人では骨折リスクが大いに高まること、骨粗鬆症が進行しやすいことが知られています。高血糖状態が引き起こす酸化ストレスによって、コラーゲンが劣化するなど骨の質が悪くなることが主な原因とみられますが、寝たきりを防ぎ、健康寿命を延伸するため、骨の健康にも大いに注意しなければなりません。
運動で骨質改善!肥満マウスにおける骨強化の効果大
今回、こうした骨の質や丈夫さを維持・改善するために、運動が効果的であること、運動を行うと骨髄内の脂肪も燃焼させられることなどを示した最新の研究成果が発表されました。研究を行ったのはMaya Styner氏らのグループで、その成果をまとめた論文が「Journal of Bone and Mineral Research」オンライン版に5月4日付で掲載されています。
研究は、肥満に伴う骨髄の脂肪組織増加と骨量・骨質の関連性、および骨髄の脂肪組織を運動によって減らすことができるかを検証したもので、モデルマウスの実験によって進められました。
研究グループは、高脂肪食により肥満化させたマウス14匹と、通常低脂肪食で育てた痩身のマウス14匹を用意し、4カ月の年齢時にそれぞれの群の半数である各7匹に回し車を与えて、運動介入を行っています。
運動での骨強化効果に新たな知見
6週間の実験実行後、全マウスの状態を調べたところ、肥満マウスの群では骨髄脂肪細胞の大きさが44%拡大されていましたが、運動を追加した肥満マウス群では39%縮小され、運動を追加した痩身マウスの群では33%の縮小となっていました。
また骨髄脂肪細胞の数でみると、痩身マウスにおける運動介入での有意な変化は認められませんでしたが、肥満マウスでは運動介入を行うことで、その数が56%低減できていたそうです。
肥満モデルマウスでは、オスミウム-μCTやMRIで骨髄脂質が増加していることが確認されたものの、これらは運動介入を行うことで減少させられ、痩身マウスが23%の減少となるのに対し、肥満マウスでは48%の減少となるなど、肥満マウスの方がより運動によって脂質を減少させられていることが判明しました。
脛骨μCTから推計した骨量も、肥満マウスの運動介入群で増加・改善していることが確認され、同群の骨はさらに高度な剛性も獲得していたと報告されています。
これらの結果から研究グループでは、肥満によって骨内部の脂肪、骨髄脂質は細胞のサイズアップなどにより増加するものの、運動を行うことでこれを効果的に縮小・減少させることができ、基礎脂質分解を促進、骨量や骨質の改善も見込める可能性が高いとまとめました。
これまで、骨内部の脂肪は運動エネルギーとして利用されることはないと考えられてきましたが、運動を行うことで過剰な脂質を分解させることはでき、肥満状態にある場合はとくに、骨の質を改善させて丈夫なものにする効果を、より強く発揮する可能性が示唆されたといえます。
今回の研究はマウスによるものであり、人でも同じことがいえるかどうかは、さらなる研究を必要とするところですが、運動がもたらす効用はさらに大きなところがあるのかもしれません。糖尿病など、とくに骨の健康維持・改善を図るべき状態にある患者にとっては、注目すべきところです。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Bone and Mineral Research : Exercise Decreases Marrow Adipose Tissue Through β-Oxidation in Obese Running Mice
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jbmr.3159/full