1975年頃から今日にいたるまで、世界における肥満や過体重の人口は急増してきており、大きな社会問題ともなっています。肥満は2型糖尿病を引き起こす重大なリスク因子であることはもちろん、糖尿病との関係性も深い高血圧や心臓病などの疾患リスクを増すものであるため、個人にとってはまさに命に関わる問題となり、社会においては、その該当人口・患者の増加が、各国における医療体制の崩壊を招く要因となり得るのです。
世界195の国・地域における四半世紀の状況を分析
こうした深刻化する肥満・過体重の増加について、このほどThe GBD(Global Burden of Disease・世界疾病負担)2015 Obesity Collaboratorsが、最新データの分析を行い、結果の公開を開始しました。「The New England Journal of Medicine」オンライン版に、6月12日付で掲載されています。
調査は、1980~2015年の子どもから成人まで、6,850万人分の肥満と過体重の有病率傾向を分析したGBD研究調査データや、1990~2015年の世界195の国と地域における、性別や年齢、その他要因によるBMI高値に関連した疾患とBMI値のデータなどを用い、定量的に解析するかたちで実施しました。
増加する小児肥満も軽視できないレベル
2015年では、世界全体で107,700,000人の子どもと603,700,000人の成人が肥満状態にあると推計され、1980年以来、70カ国以上の国々で肥満の罹患率が倍増していることが判明しました。またそれ以外の国においても、そのほとんどで継続的な増加が確認されています。
子どもの肥満は、成人のそれに比べて罹患率の割合としてみると低い値にとどまっていますが、増加率でみた場合には、多くの国と地域で成人よりも深刻であり、小児肥満が急増していることも分かりました。近年は若年層の2型糖尿病発症も増加しているなど、この結果と呼応する報告は多く、現在はもちろん、将来の健康状態に悪影響を及ぼす可能性が懸念されています。
BMI高値が関連した死亡は、全世界で4,000,000万件にのぼり、そのうち肥満症ではない人で発生した例も40%に及んでいます。BMI高値の肥満や過体重に関連する死亡例や疾患の有病率は、1990年以来増加傾向を続けており、死亡例はこの四半世紀で28.3%増加したことも報告されました。なお、BMI高値に関連する障害調整生存年は35.8%増加しました。
BMI高値関連死の内訳をみると、最も多いのは心血管系疾患によるもので、全体の3分の2以上を占めています。心血管系疾患による死亡率が、全体で減少してきていることから、心血管系疾患を原因とするBMI高値関連死の増加率も低下してきてはいますが、なお軽視することはできない水準にあるといえるでしょう。
解析を担当したグループでは、世界における過体重や肥満といえる水準のBMI値上昇とそれに関連して発現する疾病の急増は、今後も注視していかねばならないものであり、人々の健康と福祉向上に寄与する、科学的エビデンスに基づいた介入方法を見出し、広く対処を進めていくことが不可欠であるとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

The New England Journal of Medicine : Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years
http://www.nejm.org/