糖尿病をはじめとする生活習慣病は、さまざまな要素が絡み合って発症するものですが、一般に年齢を重ねるとそのリスクが上昇してくることが判明しています。これには偏った食事や運動不足などの習慣による悪影響が積み重なることももちろんですが、加齢に伴う筋力の低下が関連するともいわれています。
日本人の中高年女性で運動と乳製品摂取の効果を検証
この筋力低下を防止するには、日頃から適度な運動と十分な栄養の摂取を心がけることが重要ですが、具体的にどのようなやり方が有効なのか、それを研究・検証したものはあまりありません。
そこで今回、Shizue Masuki氏、Hiroshi Nose氏らの研究グループは、日本人中高年女性を対象として、筋力アップに有効とされる早歩きとゆっくりとした速度の歩きを交互に繰り返すインターバルウォーキング運動と乳製品の摂取で効果を検証しました。結果をまとめた論文は、「PLOS ONE」オンライン版に5月17日付で掲載されています。
研究グループは、日本人の中高年女性37人に、まずインターバルウォーキング運動を6カ月以上実践してもらいました。被験者となった女性らの平均年齢は66歳です。次に彼女らを、インターバルウォーキング運動のみで実践継続する群12人と、インターバルウォーキング運動後に4gのプロテインと3gの炭水化物を含む少量の乳製品を摂取する群の12人、インターバルウォーキング運動の後に少量群の3倍にあたる乳製品を摂取する群13人の3グループに無作為で割り付けました。
被験者らはそれぞれ指示のように運動や乳製品摂取を行い、インターバルウォーキング運動としては、1日に早歩きとゆっくりを各3分間5セットの30分、週に4回以上実践しています。
運動後の乳製品摂取で効果的に筋力アップ、炎症反応も低下
5カ月の調査の結果、運動の達成率における群間差はありませんでしたが、運動後により多くの乳製品を摂取した群で、運動のみを行った群よりも有意に筋力が上昇していることが認められました。調査開始時から比べ、平均8%の筋力アップがみられたそうです。
また血液採取によるピロシークエンシング解析では、全身の炎症反応を引き起こす遺伝子として知られるNFKB1とNFKB2のメチル化がみられ、運動のみを行った群と比較すると、NFKB1の活性が29%、NFKB2の活性は44%抑制されていることが明らかになりました。
ゲノム全体のDNAメチル化分析でも、いくつかの炎症関連遺伝子の活性が抑えられていることが判明し、インターバルウォーキング運動とその後における一定量以上の乳製品摂取を組み合わせることで、全身の炎症を促進させるサイトカイン遺伝子が抑制されると分かりました。
これらの結果から研究グループでは、インターバルウォーキング運動と多めの乳製品を摂取すると、高齢女性の大腿筋筋力を効率的にアップさせられるほか、炎症反応を抑制することができ、より有効に生活習慣病の予防や治療が行えるようになるとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

PLOS ONE : Effects of milk product intake on thigh muscle strength and NFKB gene methylation during home-based interval walking training in older women : A randomized, controlled pilot study
http://journals.plos.org/