糖尿病の患者さんでは、血糖コントロール不良に伴って発生する神経障害や血流障害、免疫力の低下などさまざまな要素が関連し、足に潰瘍や壊疽などの病変を生じることがしばしばあります。神経障害による感覚の麻痺で、気づかないうちに症状が進行し、足の一部を切断しなくてはならなくなるケースも少なくありません。
米国の大規模研究で救急受診・入院リスクの増加を確認
こうした足病変は、日頃からの予防的ケアで進行を防ぐことが可能ですが、その危険性を認識している人がまだ少ないこともあり、早期発見と適切な処置に結びついていない状況があります。今回、この足病変をもつ糖尿病患者について、さらに気になる研究報告が「Diabetes Care」オンライン版に5月11日付で掲載されました。
この報告は、Grant H. Skrepnek氏らの研究グループによってなされたもので、2007年から2013年の米国における足潰瘍や足感染症がみられる糖尿病患者の救急受診および入院リスクを検証したところ、一般患者に比べ有意に高くなっていたことを示す内容となっています。
研究グループは、2007年~2013年の「National Ambulatory Medical Care Survey」によるデータをもとに、18歳以上の糖尿病患者で糖尿病性の足潰瘍や足感染症を合併する患者を抽出、救急転送や入院など医療機関の受診状況に関する横断的な解析を実施しました。
診察回数や時間も増加するなど病態の複雑化・深刻化がうかがわれる結果に
解析の結果、この期間に推計56億人の外来診療があり、7億8,480万人が糖尿病で受診、糖尿病性足潰瘍または糖尿病性足感染症によるものは、約670万人の受診となっていました。
多変量解析の結果、他の理由による外来診療の例と比べ、足潰瘍の糖尿病患者では、救急への転送となる、または入院措置がとられることとなるリスクが3.4倍高くなり、別の医師への紹介となるリスクも2.1倍高くなっていることが分かりました。また、過去12カ月での受診回数は一般の1.9倍に増え、医師による診察時間も1.4倍長くなっていたそうです。
足感染症の患者でも、救急転送または入院となるリスクが一般より6.7倍高くなり、過去12カ月以内の受診回数は1.5倍に増加することが確認されています。なお、これらの結果はいずれも独立して関連する因子として認められました。
これらの結果から研究グループでは、670万人という大規模な患者データから、糖尿病性の足潰瘍や足感染症を有する場合、救急への転送や入院措置をとらねばならなくなるリスクが著しく高くなり、足潰瘍では別の医師への紹介も必要となるケースが有意に多いこと、また外来受診もより頻繁に長く必要となっていることが明らかになったとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Health Care Service and Outcomes Among an Estimated 6.7 Million Ambulatory Care Diabetic Foot Cases in the U.S.
http://care.diabetesjournals.org/