近年、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトに多く含まれる「スルフォラファン」という物質が、体内の解毒酵素や酸化酵素の生成を促し、抗酸化力・解毒力を高めるのではないかと注目されています。
2型糖尿病患者の血糖コントロールにも有効?
今回、このスルフォラファンについて、肥満を伴う2型糖尿病患者の血糖コントロールにも良い影響をもたらす可能性があることが最新の研究結果から報告されました。研究成果をまとめた論文が「Science Translational Medicine」に6月14日付で掲載されています。
研究を実施したのは、Annika S. Axelsson氏、Anders H. Rosengren氏らのグループで、小規模なものながら、2型糖尿病におけるスルフォラファンの有効性が検討された内容となっています。
研究グループでは、まず2型糖尿病に関連する遺伝子活性を調整する作用のある化合物を同定するため、3,852の物質データを用いてスクリーニングを実施、可能性の高いものとして、スルフォラファンに着目しました。
スルフォラファンは、これまでの研究から炎症抑制作用を有し、がんや脂肪肝にも効果的である可能性が示唆されている物質であり、ブロッコリーのほか、カリフラワーや芽キャベツなどアブラナ科植物に含まれているものだと紹介されています。
スルフォラファンに着目した研究グループは、培養した肝細胞でグルコースの産生を抑制することを確認したほか、糖尿病のモデルラットを使用した実験で、2型糖尿病に関連する肝臓の一部遺伝子における発現が有意に低下、発症抑制につながる可能性があることなどを見出しました。
メトホルミン服用とあわせて臨床試験、肥満患者で血糖値の改善を確認
さらにこうした結果をもとに、研究グループでは、メトホルミンによる薬物治療を行っている2型糖尿病患者97人を対象として、スルフォラファンが有効に働くか検討・評価するランダム化試験を実施しました。
被験者のうち60人はおよそ良好な血糖コントロールが実現されていましたが、37人はコントロール不良であり、そのうちの17人では肥満がみられたと報告されています。この被験者らを、メトホルミンに加えスルフォラファン150μmolを含む粉末を毎日摂取する群と、プラセボを毎日摂取する群に無作為で割り付け、12週間にわたる調査を行ったそうです。
それぞれ血糖値とHbA1c値にどのような影響がみられるか調べたところ、研究開始時点で血糖コントロール不良かつ肥満を合併する、BMI値が30を超えている患者の場合では、スルフォラファンを含む粉末摂取を追加した群で、HbA1c値の平均値がベースラインの約7.4%から、12週後には約7.0%へ有意に低下していることが判明しました。
しかしその他の患者群では、スルフォラファンとプラセボの比較で、統計学的に有意な血糖値の改善効果などはみられなかったとも報告されています。
研究グループでは今回の研究について、小規模かつ短期間のものであり、メトホルミンによる治療を行いながらの試験であるなど、スルフォラファン単独の作用・効果を確認したものではないとして、その限界に留意を促しつつ、培養細胞での実験やモデルラットによる実験の良好な結果も得られたため、2型糖尿病への進展・発症抑制や血糖コントロールの改善効果について、さらに研究を進めていきたいとしました。
(画像は写真素材 足成より)

Science Translational Medicine : Sulforaphane reduces hepatic glucose production and improves glucose control in patients with type 2 diabetes
http://stm.sciencemag.org/content/9/394/eaah4477.full