2型糖尿病治療薬として用いられている薬剤のひとつで、SGLT2阻害薬と呼ばれるタイプのカナグリフロジンについては、その独特な効果と影響、注意点に関する報告が相次ぎ、関心が集まるところとなっています。
心血管系疾患の高リスク患者で検証
カナグリフロジンは、血糖値を下げるだけでなく、血圧や体重、アルブミン尿レベルを改善する効果があるとみられ、心血管系疾患の発現リスクを低下できるとの報告があります。しかし先月には、FDAが下肢切断リスクの上昇に関する警告を発令するなど、投与にあたり注意すべき点もあるようです。
そこで今回、Bruce Neal氏らの研究グループは、心血管系疾患の高リスク状態にある2型糖尿病患者を対象に、カナグリフロジンの効果と安全性をあらためて検証しました。研究の成果をまとめた論文は、「The New England Journal of Medicine」オンライン版に6月12日付で掲載されています。
研究グループは、心血管系疾患の発現リスクが高い状態にある2型糖尿病患者10,142人を対象とし、その被験者らを、カナグリフロジンの投与を行う群とプラセボ投与の群にランダムで割り付けました。その後中央値で188.2週間追跡調査を実施し、心臓病や心筋梗塞、脳卒中の発現や心血管系疾患による死亡を主要評価項目として調査しています。
心血管系疾患の発現リスクは低下も足切断リスクは上昇
被験者の平均年齢は63.3歳、女性が35.8%を占め、糖尿病の罹病期間は平均13.5年でした。全体の65.6%には心血管系疾患の既往があったことも報告されています。
調査・分析の結果、心血管系疾患の発現率はプラセボ投与群に比べ、カナグリフロジン投与群で有意に低くなり、プラセボでは1,000人年あたり31.5人だったのに対し、カナグリフロジン投与群では1,000人年あたり26.9人となりました。ハザード比は0.86になります。
腎臓の転帰については統計学的に有意ではないとみなされたものの、カナグリフロジンの投与で、アルブミン尿症の進行がハザード比0.73となったほか、推定糸球体濾過率の40%減少、腎代替療法の必要性、腎臓の障害が原因となる死亡の発生がハザード比0.60となるなど、有効である可能性を示す結果が得られました。
カナグリフロジンの安全性および副作用については、これまでに報告されたものと一致していましたが、やはり切断リスクが高い傾向にあり、1,000人年あたり6.3人、ハザード比で1.97となっています。切断部分としては、つま先(足指)や中足骨部が多かったそうです。
これらの結果から研究グループでは、心血管系疾患の高リスクを有する2型糖尿病患者に対し、カナグリフロジン投与での治療を行うと、心血管系疾患のイベントリスクを低減できる一方で、足指や中足骨の切断リスクは上昇することが判明したとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

The New England Journal of Medicine : Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611925