糖尿病では、食事や運動はもちろん、生活全般にわたる習慣性リズムの改善が重要とされ、近年、病態にはその人の睡眠スタイルも影響することが分かってきています。そうした研究に関連する新たな発表が、米国睡眠学会からなされました。
社会的時差ぼけがもたらす悪影響
米国睡眠学会が現地時間の5日、最新の研究報告紹介として発表したところによると、休日に“寝だめ”をするといった“社会的時差ぼけ(Social jet lag)”の状態を繰り返していると、健康に悪影響がもたらされ、心血管系疾患の発症リスクが高まることが分かったとされています。
これまでの研究で、休日の睡眠時間が平日よりも長い、寝だめを行っており、1週間における差が大きい人の場合、そうでない人に比べてBMI値やコレステロール値が高く、また空腹時血糖値も高いなど、糖尿病前症の症状を示す人の割合が有意に高くなること、肥満や糖尿病の発現リスクが高まることが分かっています。
今回、Michael A. Grandner氏らの研究グループは、22~60歳の成人984人に対する調査結果の分析から、社会的時差ぼけなど睡眠サイクルと健康に関する詳細な検証を行いました。社会的時差ぼけ状態にあるかどうかの評価は、被験者に対するアンケートから睡眠時間の中間値を割り出し、休日の中間値から平日の中間値を引いて、その差をもとに行っています。
関連する要因として、不眠症の有無や不眠重度指数、年齢、性別、人種、教育程度、環境、雇用形態などを調べたほか、心血管系疾患の既往や疲労感についても尋ねました。
1時間のずれで11%リスク増に
解析の結果、週末と平日の睡眠時間平均値に差のある社会的時差ぼけ状態と認められる人では、あまり差のない規則正しい生活を送っている人に比べ、健康状態の悪化や精神衛生・気分状態の悪化、眠気や疲労感の増加がみられました。
またこの“時差ぼけ”による時間差が1時間開くごとに、心血管系疾患の発現リスクは11%増加することが判明したそうです。このリスク増は、睡眠持続時間や不眠症の症状の有無・重度などとは無関係に認められ、独立した影響因子となることも確認されています。
研究グループではこれらの結果から、十分な睡眠時間を確保するだけでなく、日々規則的な一定の時間を睡眠に充てることが健康維持において重要であることが分かったとし、寝だめをせず、睡眠スケジュールを規則的にすることが、心血管系疾患やさまざまな疾患の発現リスクを低下させる、手軽な予防策になるとしました。
睡眠と糖尿病の深い関係性が明らかとなっていたのに加え、糖尿病によってリスクが上昇する心血管系疾患と睡眠に、こうした関係性が認められたことで、糖尿病と睡眠、心血管系疾患の3つも深い関連のあるものとしてつながっていることが示唆されたといえます。
体内時計を乱さないような規則正しいサイクルでのまとまった休息、睡眠をとるように心がけ、全身の健康状態改善とリスク低減を図っていきたいですね。
(画像は米国睡眠学会ホームページより)

米国睡眠学会 プレスリリース
http://www.aasmnet.org/articles.aspx?id=6931