糖尿病治療の薬物療法で用いられる薬剤には、そのアプローチの違いにより、いくつかのタイプが存在しますが、SGLT-2阻害薬と呼ばれるタイプの血糖降下薬を用いると、それ以外のタイプに属する薬剤を用いた場合よりも、心不全の発現および死亡リスクを低下させられることが判明しました。
CVD-REAL試験の結果が論文に
SGLT-2阻害薬は、腎臓の近位尿細管という場所に集中して存在するSGLT-2のもつ、糖の再吸収機能を妨げ、余分な糖を尿とともに排泄させることで血糖値を低下させる薬剤です。インスリン分泌に依存しない作用機序の薬であるため、低血糖のリスクが少ない点や、他の薬剤と組み合わせて使いやすい点などに特徴的なメリットがあります。
このSGLT-2阻害薬について、2型糖尿病患者を対象に、他の治療薬を用いた治療との比較で、心不全による入院や総死亡のリスクを検討した大規模な多国籍臨床試験として、「CVD-REAL」試験が実施されましたが、その解析結果をまとめた論文が「Circulation」オンライン版に、5月18日付で掲載されました。
CVD-REAL試験のデータは、米国、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、英国の世界6カ国で収集されました。なお試験では、SGLT-2阻害薬による治療開始時点での傾向スコアを、SGLT-2阻害薬群とその他の治療薬群との間でそろえた上で、検討がなされています。
どのSGLT-2阻害薬でも心不全による入院と死亡のリスクが低下
対象となったのは、309,056人の成人2型糖尿病患者で、患者らはSGLT-2阻害薬による治療群と、それ以外のタイプの薬剤による治療群とに、ランダムで154,528人ずつ割り当てられました。SGLT-2阻害薬として用いられた薬剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンです。
解析の結果、190,164人年のフォローアップで、961例の心不全による入院がみられました。また米国、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、英国における215,622人の対象患者のうち、1,334例の死亡が、1,983例の心不全による入院または死亡が発生しています。
SGLT-2阻害薬を用いた群では、それ以外のタイプの薬剤を用いた群に比べ、心不全による入院リスクが中央値で0.61倍、死亡が0.49倍、心不全による入院または死亡のリスクが0.54倍と、いずれも有意に低くなっていることが確認されました。そしてこのリスク低下効果における、SGLT-2阻害薬の3種による違いや、国による違いは認められていません。
これらの結果から研究グループでは、SGLT-2阻害薬を用いた2型糖尿病患者への治療を行うと、それ以外のタイプに分類される薬剤を用いた療法に比べ、共通して心不全による入院リスクと死亡のリスクを低下させられる可能性が高いとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Circulation : Lower Risk of Heart Failure and Death in Patients Initiated on SGLT-2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs : The CVD-REAL Study
http://circ.ahajournals.org/