ジョギングやランニングといった有酸素運動で高めることができる全身持久力を高レベルにキープすることは、2型糖尿病を発症しにくい健康な身体をつくることとつながっていそうだということは容易にイメージされますが、これはあくまでも通説であり、科学的に検証されたものではありませんでした。今回、このことを直接データとして検証、証明した研究結果が報告され、注目を集めています。
東北大学らの研究グループが勤労者男性で実験
研究を実施したのは、東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹助教と、同科兼大学院医学系研究科の永富良一教授、東京ガス株式会社、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の共同で結成されたグループで、研究成果をまとめた論文が「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版に5月16日付で掲載されたほか、5月31日には東北大学からその旨を告知する発表がなされました。
研究グループでは、調査開始前にシャトルランニングなどで測られる全身持久力について、複数回の測定を行った勤労者男性7,158人を最大23年間追跡調査しました。まず追跡調査開始前の8年間(1979~1987年)で4回以上全身持久力を測定した男性について、全身持久力の曲線下面積をそれぞれ算出、面積の大きさから全身持久力の特徴を見出し、それによって対象者を4群に分類しています。
曲線下面積は、横軸に時間、縦軸に全身持久力をとった場合の曲線における積分値で、時間経過に伴う全身持久力の変化量をあわせてみることができ、その面積が大きいほど、継続的に全身持久力が高かったといえます。
今回、この4群への分類によって得られたデータから、その後の2型糖尿病発症リスクに違いがみられるかどうか比較検討を行いました。
一時的ではなく、継続的に全身持久力を高く保つことが重要!
追跡期間中、対象者のうち1,495人に2型糖尿病の発現が認められました。曲線下面積が最も小さかった群を1として、糖尿病の発症リスクを比較すると、小さい方から順に0.87、0.80、0.72となり、曲線下面積が最も大きい、継続的に高い全身持久力が維持されていた群で、糖尿病発症リスクが最も低くなることが確認されたそうです。
一方、全身持久力が一時的に上昇したことを示すピーク面積から曲線下面積を引いた指標を用いて、対象者を同様に4群に分けて比較したところ、それぞれの群における2型糖尿病発症のリスクで有意な差は認められませんでした。
このことから、全身持久力が高いことは2型糖尿病の発症リスクを低減することに寄与するものの、継続的に高く保つことが重要であり、一時的な上昇ではリスク低減につながらないことが明らかとなりました。
全身持久力を高く保つことが2型糖尿病の予防に有効であることを科学的に示した世界初の研究として、意味のある知見を提供したといえるほか、運動を続けることの重要さをあらためて示した研究成果として注目に値する内容となっています。
(画像はプレスリリースより)

東北大学大学院医工学研究科/東北大学大学院医学系研究科 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/Medicine & Science in Sports & Exercise : Consistently High Level of Cardiorespiratory Fitness and Incidence of Type 2 Diabetes.
http://journals.lww.com/