糖尿病患者の場合、薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法など生活習慣全般を見直した治療をバランスよく進めていくことが重要であり、治療効果にも大きく影響するところとなります。とくに肥満を合併する場合には、適度な運動をとり入れ、体重管理とともに血糖管理を行っていかなければなりません。
座位時間の長い肥満患者における上肢運動の効果を検証
肥満と血糖異常がみられる場合には、基本的に長時間座っているような生活は避け、こまめに動くよう心がけることが推奨されます。しかし、どうしてもそれが難しい場合などでは、座ったまま腕だけでも動かす、上半身運動だけでも行うようにすると、血糖値やインスリン値を改善できる可能性が高いことが分かりました。
この研究報告は、Matthew McCarthy氏らのグループによってなされたもので、「Diabetes, Obesity and Metabolism」オンライン版に5月23日付で論文掲載されたものです。
研究グループでは、成人肥満患者13人を対象として、7.5時間にわたる2つの実験を無作為の順序で実施、結果を比較するかたちで検証を試みました。対象となった患者は女性が7人、年齢は中央値で66歳、BMI値は平均中央値で33.8kg/平方メートルです。
食後血糖値などが低下、短時間の腕運動も有効
1つ目の実験条件は座った状態のままその時間を過ごすことで、2つ目は、やはり座位のままではあるものの、腕エルゴメーターによる負荷運動を30分ごとに5分間行って過ごすようにしました。そしてそれぞれの条件下で、絶食時および2回の標準食を摂取した後の血液サンプルを採取、血糖値やインスリン値について調べています。
分析の結果、座ったままで過ごした場合に比べ、30分ごとの腕負荷運動を加えた場合では、平均血糖値の上昇曲線下面積(iAUC)が平均7.4mmolから3.1mmolにまで有意に減少しました。また平均インスリン値の上昇曲線下面積も、696mUから554mUにまで減少、有意に改善することが明らかとなりました。
これらの結果から研究グループでは、長時間座って過ごす場合、腕のエルゴメーターによる運動を短時間でもとり入れると、座位姿勢のままであるにもかかわらず食後血糖値の低下やインスリン値の改善といった効果が期待できるとし、少しでも運動を実行することの重要性を説いたほか、姿勢変化にも困難を要するような重度の肥満患者における導入で臨床的意義がある可能性があるとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes, Obesity and Metabolism : Breaking up sedentary time with seated upper body activity can regulate metabolic health in obese high risk adults : A randomised crossover trial
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dom.13016/full