SGLT2阻害薬と呼ばれるタイプの薬剤で、2型糖尿病治療薬として用いられているカナグリフロジンについて、米食品医薬品局(FDA)から、下肢切断リスクが上昇するという警告が発出されました。日本でも発売・利用されている薬剤であることから、関心を集めるところとなっています。
大規模臨床試験2件の最終結果から発表
これは、現地時間5月18日付で公開された安全性情報によるもので、カナグリフロジンを用いた、大規模臨床試験であるCANVASとCANVAS-Rの最終結果に基づいています。FDAではこの件について、レーベルに対し、最も強い警告である黒枠警告の追加を求めました。
2型糖尿病は適切な治療を行わずに放置すると、さまざまな面で深刻な問題を引き起こします。糖尿病網膜症からくる失明や神経障害、腎症などはその代表的なものです。また心血管系疾患の発現リスクも大きく上昇することが知られています。
カナグリフロジンは、こうした2型糖尿病の血糖値を下げるために用いられるものであり、SGLT2の働きを阻害し、近位尿細管での糖の再吸収を抑制、余分な糖を尿とともに体外へ排出することで血糖値の低下を促します。
プラセボに比べ有意にリスク上昇、副作用として注意
FDAによる今回の警告は、CANVAS試験とCANVAS-R試験の最終結果を受けて発出されました。CANVAS試験は、カナグリフロジンとプラセボを比較し、心血管系のリスク評価を行ったもので、CANVAS-R試験は、同じくカナグリフロジンとプラセボを比較して成人2型糖尿病患者における腎臓関連のエンドポイントへの効果を検証したものです。
1年超にわたるCANVAS試験の結果、下肢切断に至ったケースが、プラセボ治療群の場合、患者1,000人のうち2.8人であったのに対し、カナグリフロジン治療群では1,000人中5.9人となっていました。
また、同様に1年以上にわたったCANVAS-R試験では、治験中の患者における下肢切断に至った割合が、プラセボ群では患者1,000人のうち4.2人であった一方、カナグリフロジン治療群では1,000人のうち7.5人だったと報告されています。
患者における切断処置は、足先や中部までのものが多かったものの、膝下までやより上の脚までを含むケースもみられ、一部の患者ではより複数の切断処置が、手足の両方を含んで施されたケースもありました。
このように、大規模臨床試験の結果で、プラセボに比べ2倍前後の下肢切断リスクが存在することが明らかとなったため、注意喚起がなされることとなり、使用中の患者には、足などに痛みや潰瘍が生じた場合、速やかに専門家へ相談するよう警告が出されています。
また医療従事者に対しては、カナグリフロジンを用いる前に、患者の下肢切断リスクが高まっている状態にないかを確認し、考慮すること、また使用中に異常がみられた場合には、カナグリフロジンの投与を中止するよう求めました。
現在、カナグリフロジンが処方されている患者さんが、自己判断で治療を中断したり、量を変更したりすることは、きわめて危険な行為ですので、絶対にやめてください。どのような薬にも存在する副作用のひとつとして認識し、冷静に対応しましょう。その上で異常を感じたり、不安を覚えたりすることがあれば、かかりつけの先生へ速やかに相談してください。
(画像はFDAホームページより)

FDA 注意喚起文書
https://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm557507.htm