毎日の暮らしにおけるさまざまな部分での生活パターンを見直すことが重要となる2型糖尿病治療では、医師と患者の信頼関係やコミュニケーションを深めることはもちろん、より広範にわたる医療従事者、関連領域の専門家らとチームを組んだケアを行っていくことが効果的と考えられています。
アジア人の血糖コントロール不良な患者で検証
今回、そうした多職種にわたるチーム医療体制で実施するケアが、2型糖尿病患者の治療において有益であることをあらためて確認したアジア人対象の最新研究結果が報告されました。結果をまとめた論文は、「Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics」オンライン版に4月27日付で掲載されています。
研究を行ったのは、M. Y. L. Siaw氏らのグループで、近年における糖尿病罹患者の増加を受けて、医師によるケアだけでなく、多職種にわたるチーム医療でのケアが注目されている中、アジア人2型糖尿病患者におけるその有効性を検証した研究報告はほとんどみられないため、その臨床結果やコストにおける評価を試みたとしています。
研究グループによる調査研究は、オープンラベルのランダム化比較対照実験として6カ月間、4つの外来医療機関で実施されました。対象は21歳以上の血糖コントロール不良なハイリスク2型糖尿病患者で、この中には多剤耐性や合併症を有する人も含まれています。一方、1型糖尿病患者や独立的にコミュニケーションをとることができない患者については、対象外とされました。
対象となった患者らは、糖尿病治療と必要に応じた看護師および栄養士による一般的なケアサポートを受ける通常ケア(対照)群と、これら通常ケアに加え薬剤師の定期的なフォローアップも受ける、多分野の職種によるチームケア群とにランダムで割り付けられています。
効果の検証は、HbA1c値、収縮期血圧、低密度リポタンパク質(LDL・悪玉コレステロール)、トリグリセリド(中性脂肪)などから行われ、糖尿病問題領域と治療満足度アンケートのスコアや関連保険サービスの利用率、必要となった医療費コストについてもチェックされました。
チーム体制のケアがコストを削減しつつ、より高い効果を発揮
今回、条件を満たす対象患者411人が調査に参加し、チームケアを受ける群へ214人が、また対照群となる通常ケア群に197人がランダムに割り付けられました。6カ月時点でチームケア介入群の141例、対照となる通常ケア群の189例が試験を完了しました。
試験で得られた結果を分析すると、HbA1c値の平均は、薬剤師を含むチームケア群で、ベースライン時の中央値8.6%から6カ月時点で中央値8.1%にまで低下、有意に改善していました。またよりコントロール不良な状態にある血糖値の高い患者では、0.8%低下するといった大幅な改善傾向がみられたそうです。一方の対照群では中央値8.5%で、6カ月間にわたり有意な変化はみられませんでした。
さらにチームケア群では、糖尿病による問題領域と治療への満足度における改善と医師の負担軽減、患者1人あたり平均91.01ドルの医療費コスト削減が実現されたことも確認されました。
これらの結果から研究グループでは、アジア人の2型糖尿病患者における薬剤師も含めた多職種によるチーム医療体制でのケアが、慢性疾患へのアプローチとして通常のケア以上に有益であることが裏付けられたとまとめています。
患者自身が中心となって積極的に治療へ取り組み、医師、看護師、栄養士、薬剤師など、さまざまな関連する専門家らがチームとして支えていくというスタイルこそ、糖尿病の治療として望ましいものであることがあらためて示された結果といえそうです。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics : Impact of pharmacist-involved collaborative care on the clinical, humanistic and cost outcomes of high-risk patients with type 2 diabetes (IMPACT): a randomized controlled trial
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jcpt.12536/full