糖尿病とビタミンDの関係性については、さまざまな議論があり、ビタミンDを摂取することでインスリン抵抗性の獲得が予防される、感受性が改善されるといった効果を報告するものがある一方、補充してもインスリン感受性や血糖値に改善はみられないとする研究報告もあるなど、意見が分かれています。
ビタミンD不足の糖尿病患者に補充して効果を検証
こうしたビタミンDと糖尿病の関係について、検証した新たな報告が「Diabetes Care」オンライン版に5月3日付で掲載されました。研究を実施したのは、Hanne L. Gluseth氏らのグループです。
研究グループでは、ビタミンDが不足している2型糖尿病患者を対象とし、ビタミンDを補充することによって、グルコース代謝やインスリン感受性、インスリン分泌でどのような影響がみられるかを検証しました。ビタミンDには、植物に多く含まれるD2と、動物に多く含まれるD3がありますが、ヒトの場合ビタミンD3が重要な働きを果たしているため、ここではビタミンD3の補充を行っています。
研究グループは、まずビタミンDが不足している2型糖尿病患者、男女62人を被験者として、ビタミンD3を40万IU単回経口投与する群と、プラセボを投与する群とにランダムで割り付けました。観察は6カ月間実施し、ビタミンD投与群の被験者で、投与開始後4週間時点での血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が、なお100nmol/L未満であった人には、さらに20万IUのビタミンD3を単回経口投与したそうです。
ビタミンD濃度がアップしてもインスリン感受性などに影響はなし
ビタミンD投与群では、ベースライン時における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が、平均中央値38.0nmol/Lでしたが、4週間後には96.9nmol/Lにまで上昇し、3カ月後には73.2nmol/Lに、6カ月後では53.7nmol/Lとなりました。
研究調査を行った6カ月間における全曝露量(曲線下面積)は、ビタミンD投与群で中央値1,870nmol/L、プラセボ投与群では1,090nmol/Lとなり、補充的な投与を実施した群で有意に高くなっていることが確認されています。
しかし、インスリン感受性や内因性のインスリン産生、血糖コントロールの状態について、ビタミンD投与群とプラセボ投与群を比較しても、統計学的に有意な群間差はみられず、第1フェーズでのインスリン分泌にも変化は認められませんでした。
これらの結果から研究グループでは、ビタミンDの不足した2型糖尿病患者に、大量のビタミンD3を投与する補充療法を行っても、インスリン感受性やインスリン分泌に対する効果・影響はなかったと結論づけ、2型糖尿病患者のグルコース恒常性改善を目的とした、ビタミンDの補充治療を実施することに対し、疑義を呈しています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Effects of Vitamin D Supplementation on Insulin Sensitivity and Insulin Secretion in Subjects With Type 2 Diabetes and Vitamin D Deficiency : A Randomized Controlled Trial
http://care.diabetesjournals.org/