非定型抗精神病薬であるオランザピンなどでは、副作用として2型糖尿病や体重増加が誘発されることがあるとされています。しかし、なぜそうした薬物による代謝異常の誘発が起きるのか、そのメカニズムについてはこれまでよく分かっていませんでした。
モデルマウスを用いた実験でメカニズムの一端を解明
そこでCaleb C. Lord氏らの研究グループは、このオランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、マウスを用いた動物実験による解明を試みました。その研究成果をまとめた論文が「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に8月14日付で掲載されています。
研究グループは、メスのC57BL/6モデルマウスで、6週間超にわたる実験を実施、オランザピンを投与して、それに誘発される過食症および肥満を再現し、体重の変動や食事の摂取量、エネルギー消費量、身体活動量データを取得しました。またグルコース耐性試験により、血漿インスリンレベルや血糖値、耐糖能などについて調べました。
その結果、オランザピンの投与により、食物の摂取量が急激に増加、耐糖能障害が引き起こされ、マウスの身体活動量やエネルギー消費量にも変化がもたらされることを確認することができたそうです。
セロトニン2C受容体への拮抗作用がポイントか
この反応についてさらに詳しく調べるため、セロトニン2C受容体(HTR2C)を欠損したマウスで同様にオランザピンを投与し、調べたところ、これに誘発される過食症や体重増加は有意に鈍化し、抑制されることが分かりました。
そこで、選択的セロトニン2C受容体アゴニストであるロルカセリン(Lorcaserin)治療を追加して、オランザピン投与の影響をみたところ、オランザピン誘発性の食欲亢進や体重増加を抑えられることが判明したそうです。
またこのロルカセリン治療では、オランザピンによる過食症・肥満再現マウスの耐糖能を改善することも確認されました。
これらの結果から研究グループでは、オランザピンによって誘発される2型糖尿病や過度の体重増加の背景には、セロトニン2C受容体への拮抗作用があり、これによって有害な代謝系の副作用が発現しているとみられると結論づけています。
(画像は写真素材 足成より)

The Journal of Clinical Investigation : The atypical antipsychotic olanzapine causes weight gain by targeting serotonin receptor 2C
https://www.jci.org/articles/view/93362