昨今の子どもたちはいわゆるデジタルネイティブとして誕生し、常にスマートフォンやPC、TVといったスクリーンデバイスと接する環境で成長してきています。ここ数年はとくに“スマホ育児”の問題点なども活発に議論されていますが、こうしたデバイスの利用は、将来における2型糖尿病の発症とも無縁ではないようです。
長く接するほど糖尿病発症リスクが増大
これまでの研究で、成人についてはTVやPCの前で過ごす時間が長い人、座位時間が長い人ほど体重が増えやすく、2型糖尿病の発症リスクも高まることが判明しています。
そこで、Claire M Nightingale氏らの研究グループは今回、こうした傾向が子どもにも当てはまるのか、子どもの生活習慣がリスクとどう関連しているのか、調査・分析を行いました。研究結果をまとめた論文は、「Archives of Disease in Childhood」オンライン版に3月13日付で掲載されています。
研究グループは、英国の年齢が9~10歳である4,495人を対象に、コレステロール値やインスリン抵抗性、空腹時血糖値、炎症マーカー、血圧、体脂肪といった心筋系・代謝系のリスクマーカーおよび身体基礎データを取得、また1日のうちどれくらいの時間をスマートフォンやゲーム端末などの電子機器、PC、TVといったスクリーンデバイスの利用に割いているか、回答してもらいました。身体活動の客観的評価を行う際には、2,031人の子どもらのサブセットを用いています。
対象となった子どもへの質問の結果では、スクリーンデバイスの利用なしとしたのは全体の4%にとどまり、37%は1日あたり1時間未満、28%が1~2時間未満、13%が2~3時間未満、18%が3時間以上利用すると答えました。
ある程度利用を制限することがリスク低減につながる可能性
分析の結果、スクリーンデバイスの利用時間が1日1時間未満だった子どもの群に比べ、3時間以上だった子どもの群では、肥満度を示すポンデラル指数(体格指数)がより高くなっていたほか、皮下脂肪の厚さ、脂肪量指数も高く、さらにレプチン濃度やインスリン抵抗性も有意に高いことが判明しました。
レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、満腹中枢を刺激したり交感神経を活発化させたりと、食欲のコントロールやエネルギー消費に深く関与しているもので、代謝とのつながりも深く、インスリン抵抗性にも関連しています。
得られた結果に対し、肥満や社会経済的な指標、身体活動といった関連要素を含むデータ補正を実行すると、グルコース値やHbA1c値、身体活動量、心血管系のリスクマーカーとの関連性は弱まったり、有意な差異として認められなくなったりしましたが、インスリン抵抗性との関連性は依然残り、他の糖尿病リスク因子とは独立して関連することが確認されました。
こうした結果を受け研究グループでは、現段階として因果関係を示すには十分でないことから、さらなるランダム化比較実験などの研究が必要になるとしつつも、スクリーンデバイスの利用時間は、増加するほど肥満やインスリン抵抗性の上昇を引き起こすものとして、深く関係していることが明らかになったと指摘、使用が長時間にわたるものとならないよう制限することが、将来の早期における2型糖尿病発症を予防することにつながるとしました。
とくに現代では子どもがスマートフォンやPCをはじめとするさまざまなスクリーンデバイスに接触する機会が増え、利用時間も長くなりやすい状況となっているため、この研究結果が示した知見は公衆衛生の観点からも重要といえるだろうともしています。
(画像は写真素材 足成より)

Archives of Disease in Childhood : Screen time is associated with adiposity and insulin resistance in children
http://adc.bmj.com/