糖尿病の場合、進行すると合併症として糖尿病性腎症を発現することが知られており、腎機能の低下は注意しなければならないポイントのひとつです。そうした中、2型糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬であるサキサグリプチンでは、この腎機能悪化を抑制する効果が期待できることを示す最新の研究が、10月の「Diabetes Care」に掲載されました。
尿中アルブミン/クレアチニン比を改善
この研究は、Ofri Mosenzon氏らのチームによってなされたもので、2型糖尿病を有する16,492人の患者を対象とし、この患者らをサキサグリプチンの投与を行う群と、プラセボ(偽薬)の投与を行う群へランダムに割り付けて、53の試験における記録データをもとに、中央値2.1年間の追跡調査を実施、腎臓に関連する効果・影響度の検討を行っています。
なおベースラインで、対象となった患者全体の58.8%にあたる9,696人が尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が30~300mg/gとなる微量アルブミン尿を、また全体の9.9%にあたる1,638人がACR300mg/g超のマクロアルブミン尿をもっていました。
追跡調査の結果、ベースライン時点で正常アルブミン尿、微量アルブミン尿、マクロアルブミン尿を呈していた患者で、サキサグリプチンの投与を受けた群では、ずれも試験終了時におけるACR区分の改善または悪化抑制が確認され、投与との有意な関連性がみられたそうです。
推算糸球体濾過量には影響なし
一方、2年後におけるサキサグリプチン投与群とプラセボ投与群におけるACR平均変化量の差は、推算糸球体濾過量(eGFR)が50mL/分/BSA超の場合、マイナス19.3mg/g、50mL/分/BSA以下で30mL/分/BSA以上の場合、マイナス105mg/g、30mL/分/BSA未満の場合、マイナス245.2mg/gであったと報告されています。
また、ACRを連続変数とした解析では、サキサグリプチン投与でのACR低減が1年後、2年後、終了時点のいずれでも認められ、ACRとHbA1c値の各変化量に相関はみられませんでした。eGFRの変化量は、サキサグリプチン投与群とプラセボ群で同程度であり、安全性にも差異はありませんでした。
これらの結果から研究チームでは、サキサグリプチン投与による治療は、正常アルブミン尿の範囲であっても、eGFRには影響を与えることなく、ACRを改善することが分かったとし、アルブミン尿からみられたサキサグリプチンのこの有益な効果は、血糖コントロールの影響からは説明できないものだったとしています。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : Effect of Saxagliptin on Renal Outcomes in the SAVOR-TIMI 53 Trial
http://care.diabetesjournals.org/