膀胱がんの発生リスクの上昇について、たびたび議論されているピオグリタゾン塩酸塩含有製剤ですが、18日、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課から同剤の添付文書、「使用上の注意」改訂に関する事務連絡が発出されています。また、同日付で武田薬品工業株式会社からも案内情報が公開されました。
「アクトス」や「リオベル」、「メタクト」、「ソニアス」が該当
ピオグリタゾンは、「アクトス」の商品名で武田薬品工業が1999年に国内における承認を取得したチアゾリジン系の経口血糖降下薬です。核内転写因子PPARγのアゴニストとして作用し、TNF-αの発現を抑えることで、インスリン抵抗性を改善します。またインスリン受容体へ作用し、インスリン抵抗性を軽減、肝での糖の産生を抑制し、末梢組織での糖利用を促進させて、血糖を低下させる働きをします。
このピオグリタゾンを含有するものとして、現在では「アクトス錠」のほか、「アクトスOD錠」「リオベル」、「メタクト配合錠」、「ソニアス配合錠」が武田薬品工業から提供され、その他に後発品も登場してきています。
こうしたピオグリタゾンでは、重大な副作用として、FDAの有害事象報告システムや米国における疫学調査などから、膀胱がんとの関連性が指摘されるようになり、日本国内でも2011年6月24日に「使用上の注意」改訂を実施、引き続き米国で実施されている前向き疫学調査の結果や、欧米医薬品庁などの評価報告を含めて情報収集を行うものとし、必要に応じて追加措置を検討するとされていました。
米国疫学研究最終解析結果を踏まえ、リスク増の可能性が完全には否定できないと記載
今回の案内は、米国で行われていた10年間の大規模コホート研究における最終解析結果が出たことを受けたもので、ピオグリタゾンの膀胱がん発生リスクについて、統計学的な有意差は認められなかったものの、リスクを増加させる可能性を示唆する疫学研究報告もあることから、可能性が完全には否定できないと注意記載することを決定しています。
今後、ピオグリタゾン含有製剤においては、「使用上の注意」における「重要な基本的注意」、「その他の注意」の項目で、こうした膀胱がん発生リスクについての注意書きがなされることとなります。
また武田薬品工業では、注意記載を行うとともに、医療関係者へ、膀胱がん治療中の患者には投与を避けること、また膀胱がんの既往歴がある患者には投与の可否を慎重に判断すること、患者や家族へリスクについて十分説明し、投与中の尿検査などを実施していくことといった注意案内を進めています。
このほか、投与中に血尿や頻尿、排尿痛などの症状が現れた場合には、直ちに医療機関を受診するよう患者へ指導するといった案内も行っていますから、すでに処方されている場合は注意しておくとよいでしょう。
しかしより重要なことは、自身の勝手な判断で服用を中止するといった行動に出ないことです。不安に感じられる方も少なくないと推察されますが、その場合はまず主治医の先生に相談するようにしてください。

厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課 発表資料
http://www.mhlw.go.jp/武田薬品工業株式会社 アクトスに関する情報提供
http://www.takeda.co.jp/