統合失調症患者では、2型糖尿病の有病率が一般の健康な人に比べて3割ほど高く、自殺や事故によって高くなっている同症患者の死亡率は、心血管系疾患や2型糖尿病などの疾患によっても押し上げられていることが、近年の疫学研究で明らかになっています。
治療薬や生活習慣だけでない関連性の存在を示唆
この統合失調症患者における2型糖尿病有病率の高さは、抗精神病薬の投与・服薬による代謝マーカーへの影響や生活習慣にあるのではないかとされてきましたが、それだけではなく、より直接的な因果関係といえる関連性がある可能性が出てきました。このことを示す最新の研究論文が、10月5日の「Lancet Psychiatry」オンライン版に掲載されています。
この研究は、Benjamin Perry氏らによるメタ解析研究で、未治療の初回精神病エピソード患者における耐糖能異常やインスリン抵抗性など、前糖尿病リスクについて検討したものです。系統的レビューとメタ解析にはPRISMAの基準を用い、過去の膨大な臨床研究データから該当するものを抽出、要約推定レベルでデータを求めるなどし、標準化調整などを行って、分析を進めています。
初回精神病エピソードと耐糖能異常・インスリン抵抗性上昇は有意に関連
Perry氏らは1,436件の同定した研究から、抗精神病薬の使用が限定的で、身体疾患を合併するものも少ない段階である初回精神病エピソードの基準を満たした患者を対象に、耐糖能異常やインスリン抵抗性などの評価がなされた研究12件に着目、これをまず抽出しました。
この研究12件は、1,137人の患者が対象で、平均年齢は28.8歳、男性が64%・女性が36%となっています。なおこのうち11件については、症例対照研究であったそうです。
12件の研究データにおけるメタ解析の結果、一部研究のプール解析で初回精神病エピソードとインスリン抵抗性の上昇との間には、有意な関連性があることが確認されました。また、経口ブドウ糖負荷試験データが含まれる研究の解析からは、初回精神病エピソードと耐糖能異常のリスクとが有意に関連することも判明しています。
一方、空腹時血糖値については、今回のメタ解析では健康な人と初回精神病エピソード患者との間に有意な差は見出されなかったそうです。
Perry氏ら研究チームは、今回の解析を通じ、初回精神病エピソードと、耐糖能異常やインスリン抵抗性の上昇といった、前糖尿病の指標となる値が潜在的に、有意に関連することが示されたとしています。
そしてさらに、研究として一定の限界はあり、バイアスの存在が否定できないとするものの、統合失調症患者の2型糖尿病リスク、有病率の高さについて、治療薬や生活習慣などの要因だけではない可能性が示唆された結果でもあるとし、統合失調症患者においては、抗精神病薬の使用如何に関わらず、代謝マーカーなどにより注意した管理・処置が必要だと結論づけました。
(画像はイメージです)

Lancet Psychiatry : The association between first-episode psychosis and abnormal glycaemic control: systematic review and meta-analysis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27720402