患者数の多い2型糖尿病に対し、発症例は少ないものの、日々の生活と健康に深刻な影響をもたらすことが知られている1型糖尿病について、小児期に発症した若年成人患者では、全死亡率や心血管系疾患(CVD)による死亡率が有意に高くなるという報告が「Diabetes Care」オンライン版に掲載されました。
米国の追跡調査研究で明らかに
1型糖尿病は、主に自己免疫によって起こる疾患で、膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊されるために、まったくインスリンが分泌されなくなり、糖尿病の症状を発現するものです。インスリンを体外から補給しなければ命にも関わるため、生涯インスリン注射を欠かすことができません。
この1型糖尿病患者におけるCVDによる死亡率やリスクがどの程度であるのかについては、依然不明な点も多いことから、今回、Rachel G. Miller氏ら米国の研究チームが、ピッツバーグの観察研究「Pittsburgh Epidemiology of Diabetes Complications Study」の参加者から対象を抽出し、追跡調査を行ったのだそうです。
対象としたのは、小児期に1型糖尿病を発症した45歳未満の若年成人患者502人で、追跡期間は1996年から2012年となっています。研究チームは、この対象者らを30~39歳のグループと、40~44歳のグループに分け、全死亡率やCVDの発症率・死亡率などに関する解析を実施しました。
とくに罹病期間の長い女性で注意が必要
その結果、年齢や性別などの要素を加味した標準化死亡率(SMR)で、両グループの全死因における率は、いずれも約5となりました。その一方、CVD死亡率には20~33と幅がみられたといいます。また、入院を必要とする深刻なCVDの発現率は、どちらのグループでも約8となり、リスク上昇の主なものは冠動脈血管再建術であったとされています。
全てのアウトカムにおいて、相対的なリスクはより女性において高いことが判明し、30~39歳のグループにおける10年間のCVDリスクは6.3%という結果になりました。なおこの6.3%という数値は、米国心臓病学会や米国心臓協会が、より高齢な患者におけるスタチン療法の導入カットポイントとして推奨する7.5%に迫るものであったことが紹介されています。
Miller氏ら研究チームでは、今回の研究を通じて、1型糖尿病の罹病期間が長い、小児期に発症した米国人若年成人患者のコホート集団では、全死亡率、CVD死亡率、入院を必要とする深刻なCVDの発現率は、いずれも有意に高いことが分かったと結論づけています。
また、相対的リスクがとくに女性で高い傾向がみられたため、長期にわたって罹患している女性患者では、より積極的なCVDなどのリスク因子を管理することが推奨されるともしました。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : A Contemporary Estimate of Total Mortality and Cardiovascular Disease Risk in Young Adults With Type 1 Diabetes: The Pittsburgh Epidemiology of Diabetes Complications Study
http://care.diabetesjournals.org/