糖尿病を発症すると、さまざまな合併症やその他疾患の発症リスクが高まりますが、なかでも末期腎不全の主因となっている糖尿病性腎症は深刻なもののひとつです。糖尿病性腎症は、糖尿病患者の3~4割にみられるといわれ、2型糖尿病患者の場合、健康な成人男性よりも発症リスクは6倍高いとされています。また糖尿病そのものだけでなく、糖尿病性腎症も心血管疾患の大きなリスク因子となることが分かっており、これらへの注意は欠かせません。
「ビクトーザ」の有効性をNovo Nordiskが発表
Novo Nordiskがドイツ時間の15日、発表したところによると、心血管イベントの発生リスクが高い2型糖尿病成人患者を対象として、「Victoza(ビクトーザ)」を標準治療に追加投与した試験で、プラセボと比較し、同薬が有意に腎障害の進行を抑制することを確認できたそうです。この結果は、今年の第52回欧州糖尿病学会年次学術集会でも発表されました。
この試験はLEADER試験と名付けられたもので、世界32カ国から参加した、主な心血管イベントの発生リスクが高い2型糖尿病患者9,340人を対象とし、「ビクトーザ」の3.5~5年間という長期投与による影響を検討する、多施設国際共同、無作為化、二重盲検プラセボ対照比較試験として行われています。
主要エンドポイントは心血管死、非致死性の心筋梗塞または脳卒中のいずれかが最初に発現するまでの時間となっています。参加患者は、生活習慣の改善と血糖降下薬・心血管系治療薬の標準治療を受け、これに「ビクトーザ」を追加投与する群と、プラセボ(偽薬)を投与する群とに、ランダムで割り付けられました。
その結果、3.8年の観察期間で、「ビクトーザ」投与群では、プラセボ投与群に比べ、心血管死や非致死性の心筋梗塞、脳卒中のリスクが統計学的に有意に、13%低下していることを確認することができたそうです。なお心血管イベントによる死亡でみた場合では、22%の低下がみられています。
腎障害リスクを軽減できる可能性
腎障害については、顕性アルブミン尿の発現や血清クレアチニン値、持続的腎代替療法の導入、腎障害での死亡という複合腎障害アウトカムで評価、検討されています。その結果、顕性アルブミン尿は、プラセボ群に比べ「ビクトーザ」投与群で26%抑制され、主にこれによって全体の腎障害リスクも22%低下していました。
セカンダリーアウトカムとして設定された心不全による入院についての解析で、2型糖尿病で心不全の既往歴がある成人患者を対象としたところ、「ビクトーザ」がプラセボに比べて入院のリスクを高めることはなく、むしろベースライン時における心不全既往歴の有無に関わりなく、全成人において「ビクトーザ」がプラセボと比較して、心不全での入院リスクを13%下げることが分かっています。
「ビクトーザ」は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1アナログ製剤で、一般名はリラグルチド、日本でも2型糖尿病治療薬として承認されています。心血管疾患と腎障害の発生リスクは、糖尿病患者にとって大いに気になるところですから、この試験報告は注目されるところとなるでしょう。

Novo Nordisk プレスリリース
http://www.novonordisk.com/bin/getPDF.2042438.pdf