近年の研究で、2型糖尿病患者であることや、高血糖状態を繰り返すことは、認知症の発症リスクを高めることが分かってきました。なかでも患者が血糖コントロールを行う際に、低血糖を何度も起こしていると、より発症・進行のリスクを高めてしまうといわれています。
血糖変動を抑制、日頃からGA/HbA1c比評価を
そのため認知症を予防するには、良好な血糖コントロールを維持することが重要になるのですが、このことに関する注目の研究が「Journal of Diabetes and its Complications」オンライン版に、8月12日付で掲載されました。
研究は、川崎医科大学のTomoe Kinoshita氏らによるもので、それによると、2型糖尿病患者における血糖変動は、たとえ低血糖を伴わなくとも、認知機能の低下と深く関与するものであることが判明したのだそうです。そのため認知症予防には、低血糖の発生だけでなく、血糖変動も抑制するように努めることが大切だと指摘しています。
またこの血糖変動を管理するために、臨床として測定に手間のかからないグリコアルブミン(GA)/HbA1c比を指標とすることが有用である可能性があるとし、そのことを検証する報告ともなっています。
年齢、GA/HbA1c比、尿中アルブミン排泄量が認知機能低下の独立因子であると確認
研究チームは、2014年1月~2015年12月に川崎医科大学の大学病院に入院した65歳以上の日本人2型糖尿病患者88人を対象に、検討を進めました。88人の内訳は、男性が38人で平均年齢は約75歳となっています。
対象者については、グリコアルブミン(GA)やHbA1c、空腹時血糖の測定を行ったほか、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とミニメンタルステート検査(MMSE)による認知機能の評価を実施しています。そして医療記録から、重症低血糖の既往などについても調べました。
そしてこれらの関係性を調べるため、まず単変量解析を行い、HDS-Rのスコアと関連する臨床パラメータはどれか、チェックしたところ、MMSEスコアと年齢、GA/HbA1c比、尿中アルブミン排泄量が該当していたそうです。それに対し今回の解析では、重症低血糖の既往があるか否かは、HDS-Rスコアに影響を及ぼしていませんでした。
研究チームは、ここからさらに多変量解析を実施し、年齢とGA/HbA1c比、尿中アルブミン排泄量が、日本人の高齢糖尿病患者における認知機能低下の独立した決定因子であると確認するにいたりました。
この結果から研究チームでは、GA/HbA1c比はごく簡単に計測できるものであるため、とくに高齢の2型糖尿病患者では、定期的にこの比率をチェックし、血糖変動を抑えていくようにすることが推奨されるとし、こうした取り組みを広げていくことで、認知症の発症や進行を予防できる可能性があるとしています。
(画像はイメージです)

Journal of Diabetes and its Complications : Association of GA/HbA1c ratio and cognitive impairment in subjects with type 2 diabetes mellitus
http://www.jdcjournal.com/article/S1056-8727