糖尿病はさまざまな合併症を引き起こすことが知られていますが、なかでも糖尿病網膜症は糖尿病腎症、神経障害とともに糖尿病の3大合併症のひとつとされています。日本では成人の失明原因におけるトップを占めるものともなっており、著しいQOLの低下にもつながるため、十分な注意が必要です。
座位時間が増えるとリスクが増大か
この糖尿病網膜症の発症について、興味深い研究結果が8月4日の「JAMA Ophthalmology」に掲載され、話題を集めています。それによると、座って過ごす時間が長い人ほど、糖尿病網膜症となるリスクが高まる可能性が高いとされているのです。
研究は、米・ミシシッピ大学のPaul D. Loprinzi博士らによって行われました。博士らは、2005年~2006年の全米健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey・NHANES)のデータをもとに、米国の糖尿病成人患者282人について、コホート研究を行い、身体活動の実施状況と糖尿病網膜症の有病率などについて、関連性があるかどうか検討しています。
対象となった282人の患者のうち、29.2%が軽度またはより重度の糖尿病網膜症有病者でした。患者における身体活動の運動量は加速度計を用いて測定しています。
座っている時間が1時間延びると16%のリスク増
Loprinzi博士らが解析を行った結果、起きて活動している時間のうちの座っている時間、座位時間が1日あたり60分増えるごとに、軽度またはそれ以上の糖尿病網膜症発症リスクは16%増加していることが分かりました。
一方で、全体的な身体活動量と糖尿病網膜症との発症との間には、有意な関連性は見出されなかったとされています。
博士はこの結果を受け、座って過ごす時間の多い生活は、心血管系疾患の発症リスクを高めることが知られており、その時間の長さと発症リスクの間には関連性があるとされていることから、この心血管系疾患リスクが上昇したことも、糖尿病網膜症発症のリスク増につながった可能性があると指摘しました。
そしてこうした生活習慣とリスクの関連性、有意な因果関係を知ることで、重度の糖尿病網膜症など、深刻な合併症の発症を予防していけるのではないかとしています。
座業が多い傾向にある人は、休憩時間には少しでも立って身体を動かすようにするなど、日々の生活スタイルを見直してみるとよいかもしれませんね。
(画像はイメージです)

JAMA Ophthalmology : Association of Accelerometer-Assessed Sedentary Behavior With Diabetic Retinopathy in the United States
http://archopht.jamanetwork.com/2540512