糖尿病患者は世界でも増加の一途をたどっており、大きな社会問題となっています。そのため、新たな治療薬・治療法の開発も積極的に進められていますが、発症することで起きる神経系信号の異常を、電気インパルスを用いて修正、治療するという、世界初の「バイオエレクトロニクス治療」が実現に向けて動き始めていることが分かりました。
Google擁するアルファベットとGSKによる新会社が研究を推進
この研究を進めているのは、英国のGlaxo Smith Kline(グラクソ スミス クライン、以下GSK)と、Googleの持株会社であるAlphabet(アルファベット)が共同で今月設立した合弁会社、Galvani Bioelectronics(ガルヴァーニ・バイオエレクトロニクス社)です。
英国にあるGSKのグローバルR&Dセンター内に本拠地を構え、さらにサンフランシスコにも第2の研究拠点を設けるとし、GSKとアルファベット傘下のVerily Life Sciencesが株式を保有、今後7年間で最大5億4,000万ポンドを投じて、バイオエレクトロニクス治療の実用化を目指すとしています。
新会社の「ガルヴァーニ」という名称は、18世紀イタリアの科学者で医師、哲学者でもあったLuigi Aloisio Galvaniに由来しているそうで、彼は1780年に電気刺激を与えると死んだカエルの筋肉が痙攣することを見出したといいます。この発見が生体電気研究の端緒となり、今日の神経系電気信号領域、バイオエレクトロニクス領域の治療研究に繋がっていることから、その名が冠されたとのことです。
注射や服薬から解放される?埋め込みデバイスで治療
ガルヴァーニ・バイオエレクトロニクス社が開発を目指しているのは、体内の神経系信号をモニタリングし、正常に修正していくことを目的とした、体内埋め込み型の小型機器です。
バッテリーで作動するこの超小型医療デバイスを患者の体内に埋め込み、慢性疾患により神経系が発するものとなってしまった異常な電気信号を電気インパルスで修正、疾患の治療として活用していくというものになります。
2型糖尿病は、活動電位(インパルス)の異常が生じている典型的な疾患であることから、この治療が有効とみられているのです。ほかにも関節炎や喘息など、数多くの慢性疾患が治療できるようになると見込まれています。
すでに2型糖尿病のラットを用いた実験では、異常な神経系信号をブロックし、インスリン抵抗性を改善、インスリンに対する感度を取り戻させることに成功しており、ヒトでも同様の効果があると考えられています。
ごく小さな機器を埋め込むだけで、日々の注射や服薬による治療から解放される可能性もあり、患者にとっても負担が少ない将来の治療法として注目されます。
まずは2型糖尿病を含む炎症性や代謝性、内分泌系疾患への治療に用いるものとして研究・開発を進め、十分な臨床的証拠と安全性の証明・確保に努めていく方針とのことですから、今後に期待したいですね。

Glaxo Smith Kline プレスリリース
http://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/2016