近年、糖尿病患者では、そうでない人に比べ、パーキンソン病を発症するリスクが高いとする報告が複数なされ、注目を集めるところとなっています。インスリンは細胞が糖や脂肪をエネルギー源として蓄えるのを助ける役割を果たすホルモンですが、脳にもやはり不可欠なホルモンで、その異常はパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患と深く関与するのではないかとみられているのです。
高コレステロール血症治療薬が予防に効く?
パーキンソン病は進行性の疾患で、現時点では発症すると根本的な治療法のないものとなっています。そのため、発症リスクが高いならば、何らかの方法でリスクを低減できないか、予防を図れないかと考えるものですよね。そうした観点で、注目される研究が7月29日の「Annals of Neurology」オンライン版に掲載されました。
この研究は、台湾の高雄市立大同医院、Kun-Der Lin氏らによってなされたもので、台湾の糖尿病患者を調べたところ、高コレステロール血症の治療薬として用いられる「スタチン」を服用している患者は、非服用患者に比べ、パーキンソン病の発症率が低かったことを報告しています。
35~40%リスクが低下、用量依存性も確認
研究チームは、台湾の糖尿病患者50,432人を対象とし、スタチンの服用とパーキンソン病発症の関連性について検証しました。対象となった患者のうち、約半数がスタチンを使用していたといいます。
解析の結果、スタチン非服用患者と服用患者を比較したパーキンソン病発症率のハザード比は、男性で0.60、女性で0.65とそれぞれ有意に低く、35~40%リスクを低減していることが分かりました。
また研究チームは、さまざまなスタチン系薬剤を検討しましたが、ロバスタチン以外の全てで発症予防効果が認められるとの結論に至ったとしています。加えてこの予防効果については、有意な用量依存性も示されています。
研究は台湾における限定的なものではありますが、糖尿病患者にスタチンを用いることは、脂質コントロールや心血管系疾患発症の予防といった従来知られている効果以外にも、パーキンソン病の予防という有用な効果を発揮する可能性が示唆されたものとなっており、高い関心を集めています。
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Annals of Neurology : Statin Therapy Prevents the Onset of Parkinson Disease in Patients with Diabetes
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/24751