さまざまな新しい治療薬が登場し、個々のケースによって使い分けることが可能となってきている2型糖尿病治療薬ですが、今回もまた、新たな治療選択肢となり得る治療剤が、製造販売承認を取得するものとなりました。
薬食審が「イニシンク配合錠」の製造販売を承認
今回、その製造販売が承認されたのは、武田薬品工業株式会社の「イニシンク配合錠」(一般名・アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩)です。4日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会において、その承認可否に関する審議が行われ、了承を得ました。
適応は、アログリプチン安息香酸塩およびメトホルミン塩酸塩の併用が適切と判断される2型糖尿病患者で、その治療における効能・効果が認められています。アログリプチン安息香酸塩は、選択的ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤の「ネシーナ錠」として発売されており、「イニシンク配合錠」は、この「ネシーナ」とビグアナイド系薬剤のメトホルミンを、1日1回1錠の経口投与で服用できるようにしたものとなります。
1錠で服薬負担を軽減、新たな治療選択肢に
DPP-4阻害剤の「ネシーナ」は、血糖調節で重要な役割を担っている、インスリン分泌を促進するホルモンのインクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の2つのホルモンを不活性化してしまうDPP-4を選択的に阻害することで、インスリンの分泌を血糖値に応じて高めることで、血糖コントロールを改善します。
一方のメトホルミンは、肝臓での糖の産生を抑制する薬剤で、広く糖尿病治療薬として用いられてきたものになります。「イニシンク配合錠」は、これらを合わせた配合剤であるため、併用治療が必要な患者さんの負担を軽減し、服薬アドヒアランスを向上させるなど、より目標の血糖コントロール値に達しやすくすると期待されます。
武田薬品工業では、今回の製造販売承認の申請を昨年9月に行っており、その際には「ネシーナ」に関する既存の臨床試験成績のほか、国内の臨床第3試験における「ネシーナ」とメトホルミンを1日1回併用投与した場合の有効性と安全性を検討した結果を提出していました。
この試験は、「ネシーナ」投与でも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者374人を対象に、多施設共同無作為化二重盲検比較試験として実施されたもので、「ネシーナ」とメトホルミンの1日1回併用投与により、HbA1cの変化量が、「ネシーナ」単独投与よりも有意に優れて改善されることが確認されました。安全性や人用性は、「ネシーナ」単独投与と変わらないことも確認されています。
2型糖尿病の病態は複雑で進行性が高く、効果を上げていくためには、よりひとりひとりの状態に合った治療法が必要とされています。今回の「イニシンク配合錠」も、新たな治療選択肢のひとつとして活かされることを期待したいですね。

厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会開催について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000130738.html審議内容 別紙資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai武田薬品工業株式会社 プレスリリース(承認申請)
https://www.takeda.co.jp/news/2015/20150928