糖尿病治療においては、まずは食事療法と運動療法という生活改善が基本になりますが、それでも血糖コントロール目標が達成できない場合などには、薬物治療を開始することが一般的です。近年では、さまざまなタイプの治療薬が開発され、経口薬でも働き方の異なるものが多数あります。
タイプごとで異なる低血糖発生頻度
そうなると、どの薬を使っていくかが問題になります。薬の副作用のなかで、血糖値が下がりすぎることで起きる低血糖はとくに頻度が高く、発生時には緊急に適切な対処をとらなければなりません。重症の場合には、命に関わることもあります。
この低血糖発生について、薬の種類による違いなどを調べた大規模なコホート研究の結果が、7月13日の「BMJ」に掲載され、注目を集めるものとなっています。研究は、英国の2004年~2012年における臨床データリンクにおけるデータ、120,803人分を対象としています。対象者は少なくとも1つ以上の非インスリン糖尿病治療薬を処方された18歳以上の新規患者です。
この患者らにおいて、低血糖の報告がある、または血糖値レベルが3.0mmol/L以下の記録があるケースを抽出し、年齢や性別、生活習慣、他の薬剤使用など、影響を与えうる諸要素を考慮、調整する処理を施して、低血糖発生に関する検討を行いました。
グリベンクラミドが多め、とくに腎機能低下患者は注意が必要
研究チームはまず、治療薬のなかでも第一選択薬とされるメトホルミンを投与された人と、スルホニルウレア剤(SU剤)と呼ばれるタイプの薬剤を投与された人で、低血糖発生リスクに違いがあるか調べました。
すると、スルホニルウレア剤単剤での治療を行っていた人の群では、メトホルミン単剤での治療群に比べ、およそ2.50倍、低血糖を起こすリスクが高いことが判明しました。また、なかでもeGFRが30ml/分/1.73平方メートル未満の腎機能が中等度以上低下している場合、このリスクはさらに高くなり、4.96倍だったことが確認されています。
スルホニルウレア剤のなかでは、グリベンクラミドを用いている患者で、とくに低血糖を起こしたケースが多く、そのリスクはおよそ7.48倍だったと報告されています。
今回の検討結果から、研究チームでは、さらなる調査・研究が必要であるとしながらも、eGFRが30ml/分/1.73平方メートル未満である患者にスルホニルウレア剤での治療を行うことは、より慎重に考慮すべきであるとしました。
またスルホニルウレア剤のなかでは、ガイドラインとは対照的な内容になるものの、低血糖を起こすリスクを低減するという面では、グリクラジドがより推奨されるべきである可能性があることも指摘しています。
(画像はイメージです)

BMJ : Risk of hypoglycaemia in users of sulphonylureas compared with metformin in relation to renal function and sulphonylurea metabolite group: population based cohort study
http://www.bmj.com/content/354/bmj.i3625.long