糖尿病の恐ろしさは、その合併症に由来するところも非常に大きいと言えます。なかでも代表的なものとして、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化や神経障害、糖尿病性網膜症といった目の障害のほか、糖尿病性腎症と呼ばれる腎臓の障害があります。糖尿病性腎症は、進行すると腎臓の機能が失われ、生命を維持していくために人工透析を行わなくてはならなくなることが知られています。
人工透析患者の減少を目指して、地域における医療機関と保険者の連携を構築
いまやこの糖尿病によって生じる腎臓障害は、人工透析に至る大きな要因となっており、社会問題としてもクローズアップされています。進行するとその症状は不可逆的ですが、早期における生活習慣の改善を行えば、重症化を予防することが可能であるため、これまでも保険者らによって医療機関の受診勧奨や保健指導といった取り組みがなされてきましたが、まだまだ十分ではありません。
そこで長野県では、保健指導を行う保険者と医療機関との連携が不十分であった点に着目し、糖尿病性腎症の重症化を予防するプログラムを策定、新たな取り組みを推進していくことを決定しました。
具体的には、県が長野県医師会、長野県糖尿病対策推進会議、長野県保険者協議会と連携し、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」のもと、医療機関と保険者の連携を実現する基本的枠組みを構築、かかりつけ医と専門医の情報交換も密に行うものとして、住民らの健康増進と、医療費の増加抑制を目指していくこととしています。
未受診者や治療中断者、ハイリスク者を徹底サポート!
まず、プログラムが対象として受診を積極的に促していくのは、過去の健診で空腹時血糖126mg/dl(随時血糖200mg/dl)以上またはHbA1c6.5%以上で、医療機関未受診となっている人、また通院中の糖尿病患者ながら、最終受診日より6ヵ月以上が経過している糖尿病治療中断の状態にある患者です。
そのなかでも尿蛋白が認められる場合や、eGFRが60ml/分/1.73平方メートル未満である場合は、糖尿病性腎症のリスクがとくに高いと考えられるため、強く受診の勧奨を行うこととしています。
こうした対象患者らには、保険者が健診の結果を通知したり、糖尿病合併症についての資料を提供したりするほか、電話や個別面談などで受診を勧めていく予定です。
また、糖尿病性腎症の病態が進行してきている、尿蛋白プラス以上やeGFR60ml/分/1.73平方メートル未満の状態にある糖尿病治療中患者、高血圧のある患者、喫煙者でもある患者、肥満や脂質異常症ももつ患者などは、ハイリスク者として保健指導を行っていく方針も打ち出しています。
かかりつけ医と連携し、その同意を得た上で、保険者の保健師などが指導、情報提供を行っていく予定で、実施した内容をかかりつけ医に伝え、さらに協力体制を深めていくことも計画しています。
さらに、かかりつけ医と糖尿病専門医などとの連携も強化し、紹介・逆紹介をともに行って患者の病状維持・改善に努めるほか、必要に応じて合併症の治療に適した他の医師、歯科医師などとの連携も構築、患者中心の医療を提供する仕組みを成立させていくことも盛り込まれました。
患者自身も状況を軽く考えることなく、しっかりと自ら治療・生活習慣改善に参加し、こうしたプログラムの実施を有意義なものにしていきたいですね。

長野県 プレスリリース
http://www.pref.nagano.lg.jp/kenko-fukushi/160803「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」詳細資料
http://www.pref.nagano.lg.jp/juushoukayobou.pdf