名古屋大学は糖尿病治療薬DPP4阻害薬の高血圧病態に対する影響の検証結果について発表しました。明らかにされた内容は以下のとおりです。
DPP4阻害薬の高血圧病態に対する影響
1.DPP4阻害薬には、SHR(自然発症高血圧ラット)の高血圧を正常化する作用があるものと血圧には影響しないものとがある。
2.SHRでは、血圧上昇ホルモンであるアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)濃度が高値であり、DPP阻害薬による高血圧改善作用には、この病的血中AngⅡ上昇の正常化が寄与している。
3.AngⅡ濃度の正常化は、血圧改善効果のみならず、高血圧性心不全による鬱血や心臓リモデリング(心筋肥大・心臓繊維化)も改善する。(名古屋大学プレスリリースより)
名古屋大学大学院医学系研究科、循環器内科学の川瀬治哉大学院生、坂東泰子講師、室原豊明教授らの研究チームがSHRにおける検証の結果、明らかにしたものです。
FDAは心血管安全性への検証を推奨
糖尿病患者の多くは、心血管病を発症し、予後を悪化させる原因となります。アメリカ食品医薬局(FDA)は糖尿病治療薬について、血糖降下作用だけではなく、心血管安全性についても検証することを推奨しています。
この他、AngⅡは、心筋細胞のナトリウム-プロトン交換体分子タイプ1(NHE-1)の発現を亢進し、NHE-1依存性に心筋肥大シグナルを制御することを発見しました。SHRの心臓にもNHE-1の発現を検証したところ、正常ラットに比較して明らかな増加がありました。
この研究ではDPP4阻害薬の高血圧病態に対する安全性が確認されました。また、DPP4阻害薬の中には、流血中のAngⅡ濃度を正常化する可能性がありました。さらに、高血圧性心不全の分子病態メカニズムとして、AngⅡ依存性のNHE-1発現亢進に影響をあたえることがわかりました。
(画像はプレスリリースより)

名古屋大学 プレスリリース
http://www.nagoya-u.ac.jp/