生活習慣病である2型糖尿病は、非常に多くの合併症を発症する疾病です。このたび、どのような治療が2型糖尿病の合併症予防に有効なのか、その研究結果が発表されました。
血糖・血圧・脂質に対してより厳格な治療を実施
2017年9月15日に開催された第53回欧州糖尿病学会(EASD)において、東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科門脇孝教授および、国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センターの植木浩二郎センター長らのグループによって、2006年より開始された臨床試験の結果が公表されました。
その結果からは、2型糖尿病患者の血糖・血圧・脂質に対し、より厳格な治療を実施した強化療法群では、特に脳血管イベントと呼ばれる脳卒中・脳血管血行再建術に関して、有意に58%の抑制が確認できました。
この臨床試験は、全国81施設における大血管症のハイリスクである2型糖尿病症例2542例を対象に、2016年3月まで実施されたものです。
厳格な統合的治療が結果的に患者の負担を軽減する
試験の具体的な内容は、血糖・血圧・脂質に対し、従来よりも厳格な目標を定め、その達成に向けて治療の段階的強化を実施した患者と、従来治療を実施した患者とのランダム化比較を行うというものでした。
今回は、心筋梗塞・冠動脈血行再建術・脳卒中・脳血管血行再建術・死亡という主要項目のほか、副次評価項目として腎症の発症・進展や網膜症の発症・進展についても比較が行われ、これらについても強化療法群では有意な抑制が確認されています。
血糖・血圧・脂質に関して、2型糖尿病患者により厳格な治療を実施することが、合併症予防に効果的なのであれば、今後はより厳格な治療を目指す方向で、見直しが進む可能性があります。
いまよりも厳格な治療が実施されれば、短期的には患者にかかる負担は増えるかもしれません。しかし、それによってさまざまな合併症を予防できるのであれば、長期的には患者の身体的な負担、さらに治療費などの経済的負担も軽減されることが期待できそうです。
(画像はプレスリリースより)

東京大学プレスリリース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20170915.pdf