米イーライリリー・アンド・カンパニー糖尿病事業部(以下、リリー糖尿病事業部)は11日、医師をはじめとする医療関係者と糖尿病患者のコミュニケーション、および両者の関係性が、治療における患者の心理的負担やアドヒアランス、血糖自己測定頻度などに直接的影響を与えていることを明らかにしたと発表しました。子会社である日本イーライリリー株式会社からも、22日に調査結果が公表されています。
良好なコミュニケーションと正しい知識が重要!
この調査研究は、ハーバード大学の関連医療機関である、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院主導で行われた多国間観察的インスリンによる治療強化(Multinational Observational Insulin Progression・MOSA1c)に関する試験として実施されたもので、結果は第76回米国糖尿病学会年次学術集会でも発表されています。
MOSA1c試験として実施されたこの研究は、北米、中南米、欧州、アジア、中東の18カ国、4,200人超の2型糖尿病患者を対象に、そのデータを2年間にわたって非介入調査、解析するというものです。
資料によると解析の結果、患者と医療関係者との関係改善は、糖尿病に関連する心理的負担の軽減につながるほか、糖尿病知識スコアを向上させ、血糖自己測定頻度などの自己管理に対する前向きな態度を醸成、指示された治療に対する自己申告のアドヒアランス向上にも寄与していることが判明したといいます。
より若い患者、教育水準の高い患者でインスリンによる治療強化の確率はアップ
また、より若い患者、教育水準の高い患者、そしてアジアに居住している患者で、インスリンによる治療強化がなされる確率が高いということも確認されています。
ほかに、アドヒアランス調整後の分析で、年齢が若く、ベースラインのHbA1c値が高値で、NPHインスリンを使用しているということが、試験終了時のHbA1c値の高値と有意に関連していることも分かったそうです。
これまでの多くの研究で、インスリンを使用している2型糖尿病患者の過半数が血糖値を管理しきれていないことが明らかにされており、今回のMOSA1cで得られたデータでも、同様の状況が確認されていますが、研究を総括したSeoyoung C. Kim博士はとくに、この2年間の観察試験で、血糖値を管理しきれているのは患者全体の3分の1以下であったにもかかわらず、最適な血糖管理が行えていない患者で糖尿病薬物治療の追加投与を受けたのは約4割にすぎないことに着目し、現状を問題視しています。
そして、患者と医療関係者の関係性が、患者の負う心理的負担の程度や、場合によってはHbA1c値にも直接影響するものとなっていることがデータから明らかになったとし、良好なコミュニケーションをとることや患者の受け止め方が、治療を進める上で非常に重要なのだとコメントしています。
リリー糖尿病事業部でも、多くの患者が目標血糖値を達成できていないことには、複数の要因が絡み合って存在し、インスリン療法の調整が最も必要と思われる際に、患者が直面する文化的・社会的・個人的障壁を具体的に考慮すること、文化横断的な幅広い視点で理由を考えることが大切になるとみており、今後、今回得られた情報を分析して、よりよい治療法とその適切なタイミング決定に活かせるものとしていきたいとの見解を示しました。

日本イーライリリー株式会社 プレスリリース
https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2016/16-36イーライリリー・アンド・カンパニー糖尿病事業部 ホームページ
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